2012/01/23

「(人身取引という)この問題をきちんと認識することが大切」?(補足)

人身取引の定義(パレルモ議定書)

(a) 「人身取引」とは、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫若しくはその行使、誘拐、詐欺、欺もう、権力の濫用若しくはぜい弱な立場に乗ずること又は他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭若しくは利益の授受の手段を用いて、人を獲得し、輸送し、引渡し、蔵匿し、又は収受することをいう。
搾取には、少なくとも、他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働若しくは役務の提供、奴隷化若しくはこれに類する行為、隷属又は臓器の摘出を含める。

(b) 搾取の目的で児童(18歳未満)を獲得し、輸送し、引渡し、蔵匿し、又は収受することは、(a) に規定するいずれの手段がもちいられない場合であっても、人身取引とみなされる。

日本における性的搾取を目的とした人身取引

米国人身売買報告書の日本に関する報告(2010年抜粋)

○ 日本は、商業的な性的搾取や強制労働のために売買される男女や子供の目的国および通過国となっている。…人身売買被害者の大半は、仕事を求めて日本に移動してくるものの、日本到着と同時に、借金に縛られ、売春を強要される外国人女性である。

○ 人身売買業者は、日本の巨大な性風俗産業で女性たちを搾取するために、借金によって女性たちを束縛し、5万ドルに及ぶ借金を課すこともある。売買された女性たちは、助けを求めたり逃げることができないように、肉体的および精神的方法で威圧され、あるいは暴力を受けている。また、…日本人の女性や少女もポルノ産業や売春による搾取の対象としている。…

○ 女性被害者の多くは、人身売買業者の報復を恐れて、当局に助けを求めることに消極的である。日本人男性は、引き続き、東南アジアにおける児童買春ツアーの需要の大きな原泉となっている。

US Trafficking in Person's Report

人身取引問題と男女共同参画

日本では、80年代から女性団体を中心に女性に対する性的搾取の問題が表面化、特に、90年代に入り、女性に対する暴力の問題として国際的にも喫緊の取組が必要とされる。その後も、東南アジア、南米、東欧等の途上国から、性的搾取を主な目的とした女性、女児の人身売買が横行。
長い間、人身取引被害者は、自発的な不法移民とみなされ、保護対象にならず、実態把握がされていなかった。
…云々。

移民にまつわるクイズに挑戦しよう!日本に関係するさまざまな移民(人身取引被害者、在日日系人、新日系フィリピン人、第三国定住難民)にまつわるクイズに挑戦してみてください。(IOM

「人身取引(トラフィッキング)問題について知る 2011」-国立女性教育会館-

人身取引の教育・啓発に関するパネル貸出-国立女性教育会館-






受入国における啓発:広報・キャンペーンとメッセージ
米国の事例「水面下を見よ」キャンペーンと多言語ポスター
Download Campaign Posters and Brochures


英国の事例「青い目隠し」キャンペーン(BlueBlindFold
<目的>
①警察行政関係者、最前線の専門家、一般市民に対して、「人身取引が起きていることについて目をさませ」、というメッセージを伝えること。
②意識啓発を行い、必要なトレーニングを提供し、世界中で情報を共有すること。
③被害者の支援を行うこと。
人身取引に関しての認知を広め防止・予防を促すキャンペーンとして、欧米およびアジアで展開されている。

先頃のセミナー()で配られた資料の情報は、上のようなものだった。
本当にこの問題に、そんなにも多くの人が「無関心」かというと、私の受ける印象では、どうもそうでもないのだ。
というのも、昨年末に私のブログのアクセス上位を晒して()から、その時点で127ページビューだった“からゆきさんの映画”()へのアクセスが、現在244ページビューにまで増えている。歴史的・文化的側面からの興味、あるいは単にエロ・性癖からのアクセスで、直接「人身取引」について知ろうとしている方々ばかりではないにしても、こういったことについて知りたい欲求を持つ潜在的な人の数はけっこうあるように思うのだ。

ただ、その次の「伝える」や「連携」などの、具体的に成すべき行動に結びつけるのが難しいとは思う。

例えば、私も職場など身近なところ「人身取引のセミナーに行ってくる」などと伝えると、「エッ!あなた、人身取引やってるの!?」と言われたり(笑)、誰かに伝えようにも、大半の「健全な」人々が「君子危うきに寄らず」で、ちょっと見聞しても、それ以上深入りはしない。
もう少し深く知ってみようと思うのは、私のような奇特な野次馬か、あるいは身近なところに人身取引にまつわる問題がある人などだろうか。

で、私も色々と考えたが、私にできることといえば、被害者と思しき人に遭遇した時に、救済と保護に尽力している団体に「つなげる」ことだろうか。↓

売春や強制的な労働などを強要される「人身取引」 被害者に助けを求められたら最寄りの警察などへ

ただ、このリンク先の「人身取引事犯の検挙状況」の表で、平成17年に検挙件数が増えてから、その後減っているのは、人身取引が減ったのではなく、犯罪が潜伏して巧妙になっただけなのだそうな。(↓)


更に、ビザを(リクルーターに取り上げられて)持っていないとか、戦前の日本でもあった、警察が遊郭と癒着していて警察に助けを求めても連れ戻されるだけ、などといった事情が今尚海外でもあるらしく、被害者でありながら警察に通報されることを怯えている、といったこともあるらしい。
そうなると、「警察に助けを求める」とは言わず、関連NGO・NPOなどに先につないでもいいのかもしれないと思うが。

また、上のような情報の啓発パンフレットなどが、警察や男女共同参画センター等行政窓口に置いていなかったら、「ちゃんと仕事しろ」と彼奴らを叱りつけてやるのも、市民の大事なつとめである。